第9章 再会
『ふふ、大丈夫ですよ
自分で帰れます
少し、休んで帰るので先に帰ってください
そのままでいると風邪ひいちゃいますよ』
零くんには、先に帰ってもらわないと困る
挫いた足の痛みが治ってないうえに、今は立つ力すらない
(こんな情けない姿、見せられるわけない)
それなのに、零くんは帰ろうとしない
『えっと…安室さん?聞いてます?』
《送ります
その体じゃ、運転出来ないでしょう》
その言葉にぎくりとする
『本当に大丈夫ですから
そこまで迷惑かけられませんよ』
《迷惑だなんてとんでもない
僕が心配なんですよ
送らせてください》
きっと、今の私の顔は引きつった笑顔だと思う
(これ以上言っても無駄だな…)
意を決して零くんを見る
『はぁ…
あたし、足痛めてるし力が入らなくて立てないんです
すぐ帰れる状態じゃない
だから、先に帰ってください
本当に風邪ひいちゃいますよ』
ここまで言えば帰るだろうと思って言った言葉だった
それなのに…
《じゃあ、尚更です
送ります
立てないなら、連れて行ってあげますから
あなたを抱き上げるくらい、僕にだって出来ますよ》
次の瞬間には、あたし体はふわりと浮いていた
いわゆるお姫様抱っこってやつ
急なことに恥ずかしくて、零くんに抗議する
『ちょ、降ろして!
恥ずかしいです!!』
零くんはくすっと笑うだけ
その足は止まることなく、車に連れていかれた