第10章 ある男の回想 降谷side
「雪花、少し良いか。」
無事に帰ってきてくれて、和解をした夜の日の事。
彼女の心の広さに感謝をしながらも今度は絶対に裏切らない。と誓った。しかし、まだ伝えてないこともある。
それを伝えたら、受け止めてくれるのかは分からない。でも、なんだか自信があるんだ。
眠そうにしている彼女の隣に座ると、顔を見られた。
「どうしたん、ですか?」
「……もしも、俺がまだ隠し事していたらどうする?」
勘が良い彼女だ。すぐに察してくれるだろう。
そう思っていたが、また予想はハズレて首を傾げられた。そうだ、眠いと頭が動かなくなるタイプだったんだ。すっかりとそのことを忘れていたのだ。
「すまない、気にしないで。」
「……人は1つや2つ、隠し事をしていると思うので私に気づかれない程度だったら隠しごと、してもいー…ですよ。」
せっかくといい事を言っていたのに眠気には勝てないのか声が小さくなっていった。しかしながら、もっと愛おしくなる言葉を言ってくれたことに喜びを隠せない。
人のこと、考えすぎじゃないのか?人のためにしすぎじゃないのか?そう思うほどに愛おしさを感じる。
意外にこいつにぞっこんらしい。
「……ありがとう。」
「どーいたしまして?……もう寝ますね。」
ふぁ。と大きくあくびをしたら、そのままリビングから出て行ってしまった。
ニヤケが止まらない。そこまでにするとはこの女は何者なんだ。
あのあと、寝室にいくとベットの上でスうさぎが安心しきった顔で寝ていたことにまた驚きが隠せなかった。