第7章 偽りの姿
「え……。」
「もう本性は隠さなくていいですよ。私の前だけでも、普段の姿を見せてください。
そうしたら、信じます。」
凄くズルイことを分かっている。しかし、私は安室さんが好きだ。全てを知りたい。
自分で言ったのも何だけども、震えるが止まらなくなる。怖いけれど、知りたいという好奇心の方が強いらしいや。
これほどまでに思っているのは安室さん、降谷さんが初めてかもしれない。
震えを抑えようと必死にしているが安室さんからの反応はなくて少し落ち込む。やっぱり、だめか。安室さんにも自分の人生があるもんね。
「あ、無理でしたら無理で良いですから」
"ね"と言おうとした。言おうとしたんで。でも、遮られたんだ。
安室さんとは違くて荒々しくも離されないように抱きしめられてた。
あぁ、これは彼の本性だ。安室さんではなく、降谷さんだ。
「本当に君は、ズルイ。」
降谷さんは立って抱きしめていたがゆっくりとしゃがみこんでは私の体に入り込むように抱きしめた。これでもう、私は逃げられなくなった。
「俺もバカだよな。言えば、雪花は分かってくれたのに。」
「降谷さんもお馬鹿さんですし、私も大馬鹿者です。」
「相変わらずネガティブだな。」
本当はまだ心のどこかでは信じていない。信じると言ったのに信じられないところもあって本当に言っていることと心は真逆らしい。
しかし、それを悟ったのか降谷さんは「信じてないだろ。」と一言言い払う。
「信じてないければ、それでいい。こちらが信じさせるまでだ。」
やっぱり、安室さんは降谷さんだ。その言葉で分かり、私は恐る恐る抱きしめ返すとピクッと肩が動いた気がする。
そうして、耳元まで顔を近づけさせて口を開いた。
「今ので本当に安室さんは降谷さんって改めて気付きましたよ。」
「雪花!!」
なんで怒られるのかは分からないけれど、すぐに離れると降谷さんは顔を開げてムニュッと頬を両手で潰された。
安室さんだった絶対にそういう事しないので本当に彼の本性だと思う。力はなくなったが、頬には手が添えられている。
「もう、出て行かないよな。」
「いや、で、でも、わたしは!」
「ホォー?要件を言ってみろ。」
「じ、自立するために!」
ニコッと笑われた。しかし、それは安室さんスマイルではなかった。