第7章 偽りの姿
「今までどうもありがとうございました!」
「理由が分からないのですが、ここよりもリビングで話し合いませんか?」
なんだろうか、これが本性ではないように思えてきた。
きっと安室さんにも何かあるだろうけれど、こんなにも演じられるのは本当に凄いと思う。
安室さんの後ろから着いていき、椅子に座った。
「で、なんで家出なんてしようとしたんですか?」
「……正直に言うと、怖いです。私は、安室さんに色んなことを曝け出していました……でも、安室さんは私には何も教えてくれてくれませんでしたよね。だからこそ、私は1人になって強くなろうと思って……。」
「強くなろうと?」
「うさぎでも、強いんだぞ。って。」
ポカーンした顔になった安室さん。なぜそんなにびっくりしているのか分からない。こっちは大真面目だ。
「うさぎって……前に似ている動物の話ですか?」
「はい、そうです!私が弱いから色んな男に引っかかるからそう言ったんですよね?」
「いや、あれはそういう意味じゃ……なんでもありません。」
どういう意味だろうか。聞こうとしたら、「それよりも僕の話を聞いてくれませんか?」と安室さんが言ってきたので聞かないことにした。
ドキドキと胸が鳴り、このまま体調を崩しそうだ。
「雪花さんが言ったとおりに、僕はハニートラップをしていました。最初の方は罪悪感はありませんでした。
これも仕事だと思い、やっていましたが段々とそれも変わっていき、いつしかは雪花さんに身に起こったこと全てを受け止めたい。と思い始めたのです。」
私の身に起きたことを受け止めたい……?
安室さんは悲しそうに笑い、一言謝りを入れた。それって私のことを本当に……?
「謝っても許されることではありません。しかし、僕自身は本当に雪花さんのことを好きなのです。」
「……本当ですか?」
「本当ですよ、きっと信じられないと思いますけれど。」
「じゃあ、1つお願いを聞いてもらってもいいですか?」
ふぅ、と一息付き、安室さん……、いや、降谷さんを見た。
「安室さん、教えてしてください。降谷さんは私にそのままの姿を見せてくれるのかどうかを。」