第7章 偽りの姿
「じゃあ、ここで住めばいい。仕事も辞めたんだろ。」
「な、なぜそれを……!」
「仕事場に聞いた。」なんて悪気のなさそうにいうから何も言えなかった。探してくれたのかな?でも、私がだって譲れないものがある。
「安室さんの時は、理由はなんとなくありましたけれど……、降谷さんとは付き合ってもないし、それと言った理由はありませんよ……。」
「……あまり言いたくはなかったんだけどな。」
一気に雰囲気が変わった。何だか重たい雰囲気に。
離されて降谷さんはしゃがみこみ私を下から見上げるように見る。
「元彼の仲間が、雪花を狙っている。」
「ね、狙っている?」
「聞いていて何も知らないのはこちら側はわかっているが、あっちは分かってない。わかっているとしたら、元の彼女だったと言うことだ。」
もしかして、情報を握られていると思い込まれている…?「生憎、あちら側はお前がこの町にいるとは知らない。」嘘でしょ……、私は厄介な男に捕まっていたらしい。それじゃあ、百合ちゃんは!?
「ゆ、百合ちゃんは大丈夫なんですか!?」
「百合ちゃん……?あぁ、あの浮気相手の。それが行方が着いていないんだ。」
「え、でも……私と遊んだりとか。」
電話だって昨日かけあった。しかしながら、行方が着いていないらしい。どうしたのだろうか、もしかしてその元彼から逃げたとか…それだったらいいな。
「不安そうだな。」
「だ、だって……。」
「お前は、自分の身の事だけを考えていろ。」
凄く場違いだけども、鋭い眼差しにキュンっときた。
安室さんばかり見ていたからそのギャップが強くて、性格も正反対で凄く格好いい。てそれどころではないけれど。
「わ、分かりました。」
「本当に分かっているのか。視線がどこかいっているぞ。」
「りょ、了解しました!」
百合ちゃん大丈夫かな…。今日、連絡してみよう。
何だかんだで連絡出来てなかったし、事情を言えば分かってくれると思うし。
そう決めながらも、目線は台所の方へ向いていた。