第6章 一転
『それって絶対に恋だよ!バカ!』
「へ、へぇ!?や、やっぱりだよね……。」
元彼の浮気相手だった友達の百合(ユリ)ちゃんはスマホ越しでも分かるほど大きな声を上げた。軽く悪口を言われる。
あのあと、安室さんはまた不安定な仕事になってしまった。会えない日でも、前とは違って会話をしている。まぁ、私が起きている時が多いけれど。
そんなある日、百合ちゃんから電話があったので出ると『あの探偵さんとはどうなの?』と聞かれた。
今までの付き合う経路を話していったらそう言われて鼓膜がほんの少しだけ震えてびっくり。
『その探偵さんが可哀想じゃない!意外と悪い女ね。』
「ねぇねぇ、百合ちゃん。彼氏って過去を知りたがるの?元彼の時はそうじゃなかったけれど、探偵さんは聞いてくることが多くて。」
安室さんはよく元彼のことを聞いてくる。どこ生まれなのか、何年間付き合っていたのか。いつから暴力を振るうようになったのかなどなど……。私も夜眠くて全部答えているけれど彼氏とはそういうものなのか。
なんだか元彼が異常だったのでなんだか、慣れてなくて百合ちゃんに聞いてみると溜め息をつかれた。
『きっと雪花の過去も探偵さんは背負いたいんじゃないの?そして、少しでも抱えてほしくないから愚痴を言うように誘導しているとか。』
「おぉ、なるほど……。」
『ま、探偵さんの気持ちは分からないけれどね。』
それが安室さんが言っていた男は過去も知りたがるか。
なんだか嬉しくてスマホ越しでもニヤけてしまう。この頃、自分でも分かるが笑顔が増えてきた。きっと安室さんのおかけだ。
それからというもの話していたが、百合ちゃんが用事があるらしくて電話が切れてしまった。
「テレビでも、久しぶりに見ようかな。」
なんだかんだとぼーとしている時が多かったのでテレビを見ていなかった。だから時代に乗り遅れている。
テレビをつけると10分ぐらいのニュースがやっていた。手に持っていた、リモコンがスるり床に落ちてドンッと落ちた音が響きわたる。
テレビには、暴力を振るっていた"元彼"が映っていた。