第5章 あらたな
「ただいま。」
「おかえりなさい、安室さん!」
友達とのランチタイムとショッピングは終わり、仕事は今日、休みだったので家中隅々まで掃除をしていた。そして、タイミングが良いのか早く帰ってくるらしいので晩御飯を安室さんの分まで作っているとリビングに安室さんがやってきた。久しぶりに安室さんとあったようで嬉しいな。
安室さんは凄く疲れた顔をして一息吐き、スーツを着て、いつもピシッとしているがネクタイが緩めておりボタンも第二ぐらい外しており、あと腕まくりをしておりたくましい腕が見えている。それで疲れたようにソファに座っている。
キュンっときた。
これぞギャップというものなのか。だめだ、格好いい。
矢をさされたようにグサグサと心臓にくる。意外と私はそういうのがフェチかもしれない。
それから離れるように頭を横に振る。
「なにか言いたいことでもあるんですか?」
「へ?」
「雪花さんは言いたいことや伝えたいのを抑える時に頭を振りますよね。」
た、たしかにそうだ。でも、今回のは伝えられないけれど。「なんでもありませんよ。」と1言言い、鍋の中身をかき混ぜた。今日は特性のシチューだ。こだわりのシチューなのでコクがあり美味しいと思う自信の一品だ。
「そんな、おめかしもして誰に会いに行ったのですか?」
「おめかし……、今日はお友達とランチ、ショッピングに行ってきました。」
あのあと、『服が欲しいので見てほしい。』なんて言われて自分用の服も買ってしまった。それでも後悔はなし。楽しかったことを思い出し、顔が緩んでしまった。
安室さんの顔を見ると何だかあまり良い表情をしていない。
「仲直り、したんです。元彼の浮気相手と。」
「それは本当ですか?」
「はい、その子、元彼に暴力を振るわれていてなかったので凄く安心しました。」
パンを切り終わり、安室さんの見た。
その瞬間に安室さんは口元を上げて、私を青い目で見つめる。
「良かったですね。てっきり男と会っていると思いました。」
さっきの表情は何だか優しそうな表情ではなかった。しかし、気のせいだったのかいつもの安室さんに戻っていてそう言われた。
「……その時にハムスターみたい。と言われたのですが頬腫れていますか?」
「いや、ハムスターというよりもうさぎかな。」