第2章 ※救済【サンカク。‐case3‐】※
付き合っていた彼氏からプロポーズされて、職場にも報告して寿退社済み。
彼が一人暮らししてたから、そっちに引っ越して数ヵ月。
入籍日とか色々と纏まり始めた頃に、浮気された。
それも、元彼女とだ。
破談は当然として、実家に戻ったは良いものの、親には流石に全部の事情を話せなくて。
そうすると、当たり前の展開だけど、いい顔はされず、逃げるように毎晩飲みに外に出ていた。
通い慣れた赤提灯の焼き鳥屋。
カウンター席の端は、ほぼ毎日来る私の指定席状態。
ここで、私の愚痴を大将が聞いてくれるのが日常。
…だったのに。
今日は、他に五月蝿い客が紛れ込んでいた。
「さくらには、絶対俺の方が合ってる!なのに、なんで、あっち戻っちゃったんだよ。さくら〜っ!」
「リエーフ、あんま店の迷惑になるような声ばっか出してんじゃねぇよ。本人が、ちゃんと‘木葉と’一緒に居たいって選んだんだろ。」
私の隣、空席を1つ挟んで座るサラリーマン風の2人組。
話の内容から察するに、大きな声で騒いでる方の男が彼女にフラれたらしい。
しかも、戻ったって話から察するに、こっちと同じく元恋人のトコにいってしまったようだ。
今なら意気投合して、愚痴の吐き合い出来る気もするんだけど…。
私の場合、ただフラれただけじゃなくて、婚約破棄まで付いてるもんだから重すぎる。
多少騒がしい程度だし、話し掛けはせずに放っておこうと決めた。