第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
高校1年の夏休み直前。
私は、失恋を経験した。
その人には、浮いた噂とか無かったから、好きな人がいるって、お断りの常套句では納得出来なくて。
フラれた後も、話し掛けてみたりして、友達の関係を築いた。
女の子を友達として傍に置けるなら、好きな人云々なんか嘘だったんじゃないか。
そう思い始めて、少しは仲良くなったんだからって、2度目の告白をした進級前。
答えは、やっぱり。
好きな人がいる、だった。
それが、本当の事だったと知るのは、2年になって新入生が入ってきてから。
彼と、仲良さそうに登下校を共にしている1年生の女の子。
これが、まぁ、思っていた以上に普通の子で。
しかも、彼に対する依存がハンパない。
いつでも一緒に居たいみたいで、お昼とかもたまに2年のクラスに顔を出す。
こういう、ベッタリ系の子とか苦手だと思ってたから意外だった。
それでも、彼女と一緒に居るのが幸せだって空気を醸し出していた。
当然彼女なのかと思いきや、友達の立場を利用して本人から得た情報によると…。
ただの幼馴染み、らしい。
アンタ等、どう見ても付き合ってる雰囲気だよ。
そう言ったら、彼…赤葦くんは、嬉しそうに笑った。
その笑顔は、初めて見たもので。
あの子が絡むと、こんな顔までするんだなって。
痛む心臓を抱えて、3度目の失恋を自覚した。