第6章 藪から棒
烈怒頼雄斗こと切島はヒーロースーツを着て仕事の内容に含まれる、夜間の見回りをしている。
見回り……と言っても、ほぼお月見していても大丈夫なくらい暇な見回りだ。
仕事は子供の護衛。
その子供はとにかく無口で、ヒーローにも興味がなさそうな子供だ。切島が「可愛げがない」と思わずにいられない、そんな子供だ。
多分、今夜の見回りもその子供が住んでいる大きな家の屋根でお月見をして終わる、そう思っていた。
ちょっとだけ、門の外を見る前までは。
切島が門を開けてふと右を見ると、人がいた。
全身青白い迷彩柄の人間が立っていた。
「!?!!!??!!?!?!」
『お、落ち着いてください………シェイドです』
目を白黒させた切島をシェイドは落ち着かせる。口を覆っていたバンダナを外し、切島に顔を見せると、彼は安堵のため息を吐く。
「びっっっくりした〜〜〜」
『すみません』
「ダイジョブダイジョブ」
切島は笑ってみせた。
「インパクトのある出会い方しておいて、名前を忘れていた自分に驚いちまった」
たははは、と頼りない顔と声で切島は頭を掻く。
シェイドは静かに頭を振って、よくある事です、とだけ言った。