第6章 藪から棒
シェイドは事務所のソファで目を覚ました。
時計を見ればもう仕事の時間だ。
『(なんか、懐かしい夢を見た気がする……)』
のそのそと準備をしながら物思いに耽る。
『(久しぶりに話したからかな……)』
今日、休憩所で話した迷い犬のような女性社員を思い出す。
それでも、夢に出てきた人物に意識がいく。
『(いや、違うな。話したからもあるけど__)』
シェイドはスマートフォンを左胸の内ポケットに入れた。
そして、部屋を振り返る。
『さてと、行きますか』
ゴーグルをはめて、バンダナで口元を隠して、夜の町へ踏み出す。