第5章 踏み出した、一歩。
…一番に目を覚ましたのは私で、
そのすぐ後に浩二君が目を覚ました。
「う…。だりぃ~…。…ちゅうか、マジだるいんやけど。
凛、お前、毎回こんなんなん?」
頭をかきながら、浩二君はだるそうに
起き上がろうとした。
「お疲れ様。…助けてくれて、ありがとう。」
そう言いながら、私は手を差し出した。
いつも浩二君がしてくれるように…。
フッと笑いながら、浩二君は私の手を取った。
しばらくして、目を覚ました先輩は、
私達に深々と頭を下げた。
「本当にありがとう。やっぱり恐怖は消えないんやけど、
今は犯人が捕まったってゆう実感がちゃんとある。
前に進む勇気もちゃんと出来たから。」
「夢もまだ見るかも知れないけど、もう大丈夫やね。
凛ちゃんと浩二君がタッグを組んで
また助けてくれるもんね。」
そう言って、先輩はただでさえ綺麗なのに、
より一層綺麗な笑顔で微笑んだ…。
ヤバいよ…その顔。
女の私でも惚れそうやん!!
そんな事を考えながら、横目に見た浩二君は、
かなり疲れたのか、まだ机でうなだれていた。
フフ…格好よかったよ。…浩二君。