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夢操り屋 凛 第三章

第4章 前に進むきっかけを。


気付いた時…ちょうど先輩のバイトが
終わった所だった。

(めっちゃオシャレなカフェでのバイトかぁ。
 似合いすぎです。先輩!!)
 
現実と間違えるかのようなハッキリとした世界。
それだけ、先輩の心に深く影響している
『悪夢』だという事がいやって程分かった。

「うわっ!すげ~…えっ?ほんまに夢の中なん?
 …ここって…。」

…!?
…忘れてた!!

「浩二君!!ほんまに入れたんや!!」

すぐ横に、キョロキョロ辺りを見回している
浩二君の姿があった。

「あっ…先輩や。バイト終わったとこなんか。」

…順応能力高すぎやろ…。
彼が入れた事も、彼の冷静さにも、
何もかもに、ただ…ビックリしていた。

(ん?)

先輩が帰ろうとしたその時、タブリエ姿の
格好いい男性が声を掛けている。
遅くなった事へのお詫びかな?
先輩は、彼から何かを受け取って…

とても嬉しそうで…
顔が真っ赤に染まっていた…。

(ひょっとして…先輩、あの人の事…好きなんじゃ…。)

もしかしたら浩二君がショックを
受けているんじゃないかと…
チラッと横目で、彼を見た。

・・・あれ?意外と平気そう…。

先輩は、貰った何かを大切そうに抱えたまま、
嬉しそうに歩き出した…暗い夜道を…。

段々と人通りも少なくなり、とうとう
先輩は独り歩きになっていた。

次の瞬間…突然、先輩の後ろに
若い男が現れた。

ピッタリと先輩に密着した男は、
後ろから、右手で先輩の口をふさいでいる。

(コイツか!!)

そう思ったと同時に体が動いていた。

「あっ、待て!!凛っっ!!」

瞬間的に怒りが蘇り、
私は男に体当たりして突き飛ばした。

弾みで先輩も倒れる…
先輩の前に立ち塞がる私。
すぐに男は立ち上がり…無言で…
振り向いた。

「怖っっ!!!!!」

顔が…見えない。
そんなに真っ暗でもないのに、その男は
顔が黒く塗りつぶされたみたいに、顔が見えなかった。

ただ…口の端が斜めに上がっていて…

(笑ってる…!!)

それだけは、ジワジワと伝わった。
先輩の恐怖の心が、私にも伝わる。

あまりにもの恐怖で動けなくなってしまった…。




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