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【イケメン戦国】友の会別邸(短編集)

第3章 ラブリーディストーションII(徳川家康)





「ねー、あれ見た?海外異動が決まったらしいよ」
「見た見た!カッコよくて仕事できるとかやばい!彼女いんのかなー」

「えー、いなさそうじゃん?でもさー、遠距離はきっついよね」
「わかるー。連絡とかさ、全然してくれなさそうだもんね」



同じ課の先輩達が噂話をしているのを横目に、ポットに水を汲むため私は秘書室を出た。

今年もそんな季節なんだな、と…海外にも支社がある我社では、そこに赴任する事が出世の近道だ。
営業マンはその栄誉を勝ち取るため、英語だけでなく中国語を学んだりとスキルアップに余念が無い。
基本的には他薦があってからの、社長…父の決定だと聞いている。
上司なんかに気に入られる自己アピール力が問われるんだよ、とも聞いていた。


前に父に引き合わされた男性の内の誰かだろうか、なんてぼんやりと考えながら、角を曲がる。


丁度、反対側の曲がり角から彼…家康が、何人かの同僚と共に歩いてくる所だった。
思わずどきり、と胸が高鳴るけれど、関係が関係だ。
社内では会話は愚か、目線ひとつあわせないのが暗黙のルールだった。
家康もこちらに気付いたようだが、ぺこりとお辞儀をしてそれきり、いつも通り何事もなくすれ違う――

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