第3章 憎悪と恩寵と思慕
その言葉に闘争心を掻き立てられて、中也が吼えた。
「おい、晶子!絶対手前ェをダウンさせてやるからな!もう手前に負ける俺じゃねぇ!」
晶子は、うーんと伸びをした。そして、
「ふふふっ、構わぬがそなたが負けたらどうなるか分かっておるな?負けたら1週間毎日、妾に甘味を差入れするのだぞ?さて、訓練を始めるとしよう。」
と中也に悪戯っぽく笑う。
そんなふうにガヤガヤと賑やかな様子で訓練が始まった。
「では、芥川よ、今説明した通りのルールの元で今回の訓練を行う。頑張るがよい。」
訓練が始まる時、晶子は芥川に声を掛けるとフィールド内へと姿を消した。芥川は言われるまでも無いと思っていた。不意に芥川のチームになった構成員が声を掛けた。
「あの、芥川さん、我々のチームはどのように動きましょうか?」
声を掛けられた芥川は、チームである事など殆ど念頭に無かった。むしろチーム戦である事さえ、煩わしいと思っていたし、自分一人で晶子を斃せると思っていた。
「ふん、貴様らは好きなようにしろ。先生は僕が斃す。」
そう言うとあとは黙り込んでしまった。その言葉に困り果てた構成員達は、自分たちで作戦を立てるしか無かった。
紅葉、中也のチームもそれぞれ作戦を立て、3分経つのを今か今かと待っていた。