第3章 憎悪と恩寵と思慕
「まぁ、論理的な事より妾としては実践の方が好みでのう、早速実戦のほうに移ろうぞ。」
そう言うと、その場にいる構成員の人数を確認した。そして、
「先ず、3つのグループに分かれよ。そして、それぞれのチームに紅葉の姉さま、中也、芥川、付いてくれるか?」
と紅葉、中也、芥川に指示を出す。それぞれグループが出来上がると、
「今から妾はフィールド内に陣地を作る。時間は3分。3分経ったら、そなたらはフィールドに入り、妾の陣地を探しに来い。そなたらは妾を斃す、若しくは妾の陣地を制圧したら勝ちだ。逆にそれぞれのチーム全員が戦闘不能になったらそなたらの負けだ。」
と晶子が説明した。
「ほお、晶子様は"缶けり"をしたいと申されるのか。して、わっちらも戦闘に参加して良いのかえ?」
紅葉は、晶子の訓練の内容を理解した上で質問した。
「うむ、勿論。但し紅葉の姉さま、中也、芥川はそれぞれのチームのリーダー故、妾に負けたらその時点でそのチームは負けとなる。まぁ、中也と芥川は妾と1戦交えたいらしいがのう。」
と、カラカラと笑いながら晶子は答えた。
「おう、晶子、今日の訓練で手前に勝ったら昼メシ、何か奢れよ?」
中也は準備体操をしながら言った。
「ほぉ、随分自信があるようだのう。しかし今回の訓練は、そなたが妾に勝つだけではダメだぞ?」
と、晶子はニヤリとして答える。その言葉に中也は眉を顰めた。
「はぁ?手前をダウンさせたら勝ちじゃねぇのかよ?」と、中也は訝しげに問い掛けた。
中也の様子にふふっと紅葉が笑いながら、晶子の代わりに答えた。
「中也よ、晶子様の話をちゃんと聞いていなかったのかえ?今日の訓練は、"缶けり"。わっちらも勿論戦うが、チームの構成員達がいかに晶子様に斃されないかがこの訓練の趣旨。そうでありんしょう、晶子様?」
紅葉はにこりとして晶子にの方を振り返る。
「紅葉の姉さまの言った通りだ、中也。だからそなたが仮に勝っても、そなたのチームの構成員達が斃されたら負けという事だ。そなたはこういう事は苦手そうだし、良い訓練になると思うぞ?」
再びニヤリとして中也に答えた。