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卑しき狗の愛憎

第2章 予想通り


「本当かい、"紫の上"?イヤじゃないんだね?ポートマフィアの為にこの"お願い"を聞いてくれるんだね?ありがとう、"紫の上"!
フフフ、そうしたら、早速"紫の上"の花嫁衣裳を用意しなくてはね!」
と、晶子の言葉に森はすっかり有頂天になって、どこからともなく、ウエディングドレスやら、白無垢やらのカタログを取り出し、テーブルの上に拡げた。
幹部たちは、この交渉が上手くいった事に安堵し、この婚姻と太宰の次期首領への指名により、ポートマフィアが強固で安泰なものになったと口々に話していた。

「晶子様、私が貴女の婚約者で良かったのですか?」
そっと目の前の晶子に太宰が悪戯っぽい表情で声を掛けた。
「ふっ…、そなたにしか務まらぬ役目であろう?そなたにその言葉、そっくり返すぞ?」
晶子は少し困ったように笑った。
「勿論、私にしか務まらない役目だろうね。貴女のように美しく、残酷な女性を妻にするというのは。しかし、それ以上に私は貴女を愛していますよ。この世に貴女以上の心中相手は、他には居ないからね。」
そう言うと、太宰はすっと席を立ち、向かいの晶子の膝元に膝まづいた。
「私の命は貴女のだけのものだ。私をつれて逝ってくれるね、晶子?」
と言い、ふっと微笑んだ。そして、晶子の手を取って口付けした。
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