第2章 夢幻
それが段々とノイローゼ気味になった時、彼らに対して『星場スミレ護衛任務』の依頼が降りてきた。彼らにとって格好の餌食だったであろうスミレは、こうしてこの施設に連れて来られた訳である。
彼女はまだ前途ある女子高校生。三年生という将来に向けた大事な時期において、このような理不尽を強いられれば反発する。それが彼らにとっては何よりの至福だ。スミレの意志を快楽で歪め、悦楽に耽溺させ、理想の『オモチャ』を作る。それは、マンネリ気味だったものに対する新たな刺激だった。
この事がバレたら、何とも勝手で彼女の意思を一切捨象した傲慢な措置なんだ、と世論は憤慨するだろう。しかし、完璧なセキュリティと五人のプロヒーローが集まるこの空間の他において、彼女が安全に日々を過ごせる場所はないのも事実だ。正にギブアンドテイク、彼女の身体を捧げる代わりに安全が保障される両者win-winの関係である。
そんな悲しい関係は、本来あってはならないのかもしれない。それでも、本当の愛を知らない歪曲した彼らにとって肌を重ねる事はただの快楽行為に過ぎない。そんな彼らの乾ききった心を、どうする事が出来ようか。絶望しきっている彼女の瞳に映る彼らは………………。