第4章 Interlude
はぁ、と息を切らし。
真っ暗な建物の影に潜んで、辺りの様子を探る。
考えもなしに追いかけてきた、脳筋な警察集団たちはなんとかまけたようで…全く見当違いの建物を挟んだ向こう辺りで、バタバタと駆け抜けていく足音が響いている。
刑事さんが指揮を執るようになってから、どうも仕事が大掛かりになった。
私の…怪盗さんの、今までの盗品の傾向を分析して、その辺りの警戒を強めているようで。
…とは、カフェのお客様としての刑事さんが、店員としての私に何とも得意げに零していたのだけれど。
一度入った輝石店や骨董屋、銀行なんかの周辺にはうじゃうじゃと警察が彷徨いている。
いつ、何処に盗みに入るか、小説の中の怪盗みたいに予告している訳じゃないから。
当てずっぽうもいい所で、警官たちもそこまでやる気はないけれど…
下手な鉄砲、数打ちゃ当たると言ったところか。
今日は壁を乗り越えた所を運悪く通りすがりの警官に出くわし、あわや大捕物になりかけた。
飛んだり走ったり、久しぶりに運動したから…ばくばくと大音量で鳴る心臓の音が、追手に聞こえそうでどきどきする。
まずは落ち着こう、と小さく息をついて。
酸欠からほんの少しだけクリアになった思考は、また彼の事を考えていた――