第2章 Prelude
「なんだか…いつもよりどっと、疲れた…」
ミドルクラス…中流階級の街並みにある、小さなマンションの駐車場にカフェワゴンを停めたものの。
あの刑事とのやり取りや、その後のニュース報道に疲れ果てて、私は暫くハンドルに額をつけ突っ伏していた。
しかし、遠くから夜を知らせる鐘の音に、よろよろと重たい上体を起こし。
市場で大量に買い込んだ食糧を抱え、車を下りた。
稼ぎがあった次の日は、派手にやると決めている――
二筋南に下がり、石畳の狭い路地へと入って暫く歩けば景色はガラリと変わる。
所謂スラム…貧民街へと、足を踏み入れた。
誰かの視線が刺さるような感覚と、およそ衛生的じゃない、鼻をつくにおい。
懐かしくて、何処か情けなくて、目に染みる――