第1章 プレイメイカーを拘束せよ
(ログアウトする前に、兄さんに会っておこう)
そう思った私は、 プログラムを操作して、兄さんを呼び出す。淡い光を纏って出現した彼に、私は苦笑した。
「兄さんは、本当にリンクヴレインズが好きだね。 ロクに家にも帰ってこないで……」
そう、私の兄さんはリンクヴレインズに篭もりきりなのだ。
「……」
兄さんは答えない。きっと、もっと沢山話せば元の兄さんに戻るんだ。レイス様だってそう言っていたじゃないか。
「じゃあね、また明日」
どこか遠くを見つめた兄さんに手を振ってから、私はログアウトした。
------
「ただいま」
家に帰っても、当然「おかえり」と声をかけてくれる人は居ない。兄さんはまだリンクヴレインズにいるから。
(そのはず、だよね……)