第6章 別れ…
ボクは影の中へと姿を消した。
…痛い…背中と顳顬が痛い…クッソ…
ボクは影の中で身体を丸めていた。
「グッ…ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」背中と顳顬の辺りからブチッっと言う千切れ音がした。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙…はぁ……はぁ…ア゙ア゙…痛い…左眼が戻っただけで…」ボクの首から下だけを覆っていた影が顔にまで広がっていくと共にボクの見た目も少し変わった。
目の前に久しぶりに見る"あいつ"が現れた。
「ここからは"俺"のターンだ…この感覚は久しぶりだぜ!手ぇ…出すなよ?」
「まさか僕の"兄弟"が左眼を取り戻すなんてねぇ〜久しぶり…〈死神、アール〉いや、今は…〈---、アール〉だっけ?」
-私 side…
私は〈ゼウス〉に攫われて神殿に連れ込まれていた。
「お主は大事な"客人"じゃからなぁ、腹は減っておらんか?喉は乾いておらんか?」〈ゼウス〉は気を使ってくれた。でも、私は首を横に振るだけだった。
…私が今欲しいのはアールなんです。
私の心には空洞ができていた…。
「そうか…なら、お主に聞きたいことがあるのだが…良いかな?」〈ゼウス〉が微笑みながら聞いてきた。
私は首を縦に振った。
「お主は今まで〈死神、アール〉と何を目的にして歩いてきたのかね?」〈ゼウス〉が聞いていた。
「私は…ただ…嬉しかったんです…真っ直ぐな目で…優しい声で…誘ってくれた…アールについて行きたくなったんです…」私が話始めると目から涙が流れ始めた。
「お主…毒されているな?アールの本当の姿は…---なのだよ?」〈ゼウス〉のそのセリフに私は耳を疑った。
…アールが…う、嘘だ…だってアールは死神だよ?!
私の頭は混乱し始めた。
「お主の毒をわしが全部抜いてやろう…さぁ、わしの手を取りなさい」〈ゼウス〉が席を立って私の前まで歩いてきて手を差し出してきた。
…今ここで〈ゼウス〉の手を取ったら…二度とアールに会えないかもしれない…そんなの……
「…や…す…そんなの…嫌です!!」私は泣きながらも〈ゼウス〉を睨んだ。
「そうか…なら、連れて行け!!」〈ゼウス〉の命令が出されると私の意識は飛んだ。