第4章 死神と墓石
アールが帰ってきて私は嬉しい!
「アール…この本…」私はアールから少し離れて真っ黒な本をアールに差し出した。
「ん?【白髪赤眼族】…ボクのことも乗ってるね~」アールは本をペラペラめくった。
「白髪赤眼族の長、マヤカさん知ってる?」私がその名を口に出した時アールはページをめくっていた手を止めて口を開いた。
「…マヤカは行き場のないボクを養ってくれたんだ…育ててくれたんだ…まるで、ボクの親のように…」アールは悲しい声で語っている。
「ボクは白髪赤眼族しかいない島…罷島で産まれた白髪赤眼だった…でも、ボクが歳をとって行くにつれて普通の白髪赤眼以上の戦闘力とスピードに特化した…そして更に影を操る能力、今のこの力も目覚めて…」アールは軽く深呼吸をして続けた。
「ボクは白髪赤眼族の中で…白髪赤眼を持った化け物と呼ばれて…親からは捨てられて…行き場を失った…そんなボクをマヤカは優しく手を引いて『行き場のない君、一緒に帰ろう!』って言ってくれたんだよ…」アールは笑っていた、でも…悲しい笑顔だ。
「じゃ、じゃぁ~マヤカさんはどうなったの?」私は少し戸惑いながらも聞いた。
「〈ゼウス〉の裁きで死んだ…ボクはその時影を使って助かったけど…マヤカを…クッ……助けれなかった自分が嫌になるよ!」アールは思いっきり拳をコンクリートの床に振り下ろした…床にはヒビが入った。
「とまぁ~この話は置いといて…サンノ村に向けて歩くとしますか~」アールはすぐに切り替わった。
「え?!話の続き気になりますよ!話してくださいよ!」私はアールの横を歩いた。
「ニヒッ!話の続きは…そうだな~気が向いたら、だな!」アールはそう言って私にデコピンした。
「ちょっ!アール!!」
「次は〈夢の神、オネイロス〉だぞ~サント山の頂上にある神殿に住んでる、サンノ村に行けば分かるか~」アールはおじさんの家に歩いている。
「歩いていくの?」私は聞いた。
「途中までは船で行くぜ!」アールは伸びをしながら言ってくれた。
「また、〈ハルピュイア〉とか来ないですよね?」私は不安がって聞いたらアールはニヤッっと笑った。
「そん時はまた、眼を貰う~」アールは楽しんでいる。
また、来たらアールのあの不気味な笑顔をまた、見るのか…私の脳裏に焼き付いるアールのあの笑顔が蘇った。
「おっちゃ~んサンノ村まで船出せるか?」アールは笑いながら聞いた。