第15章 DEAD APPLE
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敦と鏡花は車に乗り込み、葉琉は単車に跨った。
「葉琉さん、矢っ張り一緒に来てくれませんか?」
助手席から不安気に顔を出す敦に葉琉はデコピンを食らわす。
「ッ!」
「男の子なんだから、しっかりしなさい。私も直ぐに向かうから、先行ってて。私は二人を信じてる。勿論、国木田君も、他の皆もね。敦君、鏡花ちゃんを頼んだよ。鏡花ちゃんも、無理しないでね。二人共、必ず生き残りなさい」
鏡花はコクリと頷き、敦も渋々「はい…」と答える。葉琉はペダルを上げてアクセルを吹かし、単車を走らせた。直ぐ後ろで鏡花の運転する車も発車する。
直後、背後で大きな爆発音が聞こえた。ちらりと振り返ると、探偵社の入っている赤煉瓦のビルから火の手が上がっている。
(国木田君……)
視線を戻し、更にアクセルを回した。
霧の中を猛スピードで走る単車。葉琉の二つに縛っている髪が後ろに靡く。敦と鏡花にはああ言ったが、葉琉自身、まだ不安で一杯だった。敦に言った言葉は、自分自身への言葉でもあった。
(治ちゃん……信じていいんだよね?)
ぎゅっと唇を噛み締め、葉琉は安吾から送られてきた地図を頼りに目的地まで向かった。