第2章 黒の時代(序章)
午後の昼下がり
メールの着信音が鳴った。
開いてみると治ちゃんからだった。
【葉月が準幹部に昇進したよ】
書類塗れで意気消沈していた私に
とても嬉しいニュースだ。
中也と私は
先日の治ちゃんの昇進のときに
準幹部になっていた。
私たち四人のなかで
あとは葉月だけだった。
私は急いで
同じく書類と格闘している中也に知らせた。
「中也!葉月が準幹部に昇進だって!」
「あァ!?まじか!?
こんな直ぐに追いつかれるとは…」
何処と無く悔しそうな中也。
そんな中也を横目にちょっとしたサプライズを計画する私。
「ねぇ中也!
葉月って今日くるよね!?」
「確か…荷物運びに来るとか言ったな」
「その時にさ!みんなで乾杯しようよ!珈琲で!」
「珈琲かよ!……ンまぁしょうがねぇか」
中也は少し考えて承諾してくれた。
「…………なぁ葉琉」
中也が少し照れくさそうに声をかけて来る。
「なに?」
「葉月ってどんなのが好きなんだ?」
「……は?」
「だから!葉月の好みだよ!デザインとか!」
(嗚呼、そーゆーことね)
心の中で納得し
ため息を吐く。
「葉月に直接聞けばいいじゃん」
(両想いなんだし)
「昇進のサプライズだぞ!?
聞けるかンなこと!」
「はぁ〜〜」
更に深いため息が出た。
(私に相談しないでよ…)
でも、突き放すこともできずに協力することになった。
「今日17時
ここの店の前に集合!
遅刻したら今度奢りね!」
そう言って中也にある店の地図を渡した。
中也はまじまじとその地図を見つめて
「わかった」と言った。