第14章 【SS】慰安旅行
ーー女湯ーー
各々躰を洗い、背中の流し合いなどをした与謝野、葉琉、ナオミ、鏡花はゆっくりと温泉に浸かっていた。
「こりゃァいいモンだねぇ」
「癒される〜」
「温まりますわぁ」
「気持ち良い」
四人はふぅと息を吐いた。
「処で」と与謝野が話を切り出す。
「谷崎兄妹は何時もの事として、葉琉は最近如何なンだい?」
「え?」
「そうですわ!」
「聞きたい」
急な質問に呆気に取られる葉琉に、ナオミと鏡花は詰め寄った。
「如何……とは?」
「そりゃァ、アンタ等に何か変化があった事は全員が気付いているさ。だけど、まだアンタの口から聞いてなくてねぇ」
ニヤニヤと笑う与謝野と詰め寄るナオミ、鏡花。逃げ場を無くした葉琉は観念した様に両手を挙げた。
「あー……はいはい。判りました、判りましたよ。ナオミちゃんも鏡花ちゃんもそんな詰め寄らないで」
ナオミと鏡花はガッチリと葉琉の腕を掴み逃がさない。
「えーっと…治ちゃんとお付き合いする事になりまして……」
「やっと太宰も報われたねェ」
「え?」
「想いが伝わったのですね」
「ん?」
「見てる方が焦れったかった」
「ぇえ!?」
三人は示し合わせた訳でもないのに同時に頷く。如何やら太宰の想いに気付かずに居たのは葉琉だけだった様だ。温泉の所為なのか、将又、別の理由なのか葉琉の顔は熱くなっていた。
「おやおやァ、可愛い反応だねぇ」
「皆さん知ってたなら教えてくれても良いのに」
ぷいっと顔を背ける葉琉に三人はよしよしとを頭を撫でた。