第13章 華麗なる幕引きを
ーー探偵社、会議室
そこには太宰、乱歩、葉琉の姿が在った。太宰はペラペラと乱歩が持ち帰った『白鯨』の死角及び攻略法が載った資料を読むと葉琉に手渡した。
「乱歩さん、凄い情報ですね。値千金だ」
「好きに使え、僕は興味ない」
「これを使って組合の背骨を一撃で圧し折るとすると……潜入から爆弾?」
「はぁ?無理だろ。通信から狙撃で着水して失敗だな」
太宰は暫く考えると「本当だ」と呟いた。葉琉も資料を読んだ後太宰に返し「私突入しますか?」と尋ねた。
「それも無理だろ。白鯨が落ちた時、強化されてない躰の君が落ちたらぺしゃんこだ」
葉琉は「それは痛い」と躰を震わせた。太宰は次の案を提示する。
「じゃあ特務課突入から賢治君だと?」
「無理。地上戦になって痛み分け延長戦」
「あぁ…確かに。となると敦君か」
「ふぅん。ま『細雪』を使えば悪くない」
「ですね…では潜入手段は?」
「それこそ特務課だな」
太宰は葉琉から受け取った資料の一枚で紙飛行機を作り、すーっと飛ばした。
「すぐ掛かります。最後は山?」
「海だ」
「了解」
紙飛行機は何時の間にか扉の処で突っ立っていた敦に中り落ちた。敦は太宰と乱歩の会話を疑問符いっぱいに見つめていた。
「葉琉、お見舞いに付き合って欲しいのだけど」
葉琉は「いいよ」と返事を返し立ち上がり、太宰の後に付いて部屋を出た。
乱歩はお菓子を食べ乍、ニヤリと笑い「あれはもう葉琉ちゃんを離さないだろうなぁ」と言った。敦の頭には更に疑問符が付いた。