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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第12章 双つの黒と花の役割


階段を降り乍、太宰が話し始めた。

「そう云えば、葉月ちゃん。国木田君が葉月ちゃんのこと気になってみたいだよ」

「国木田さんが?」

「治ちゃん、それ此処で云ったら….」

「おィ、誰だクニキダって」

「ほぉら変なの絡んで来た」

「変なのッて如何いう意味だ、葉琉!」

「そのまんまですぅ。昔からほんッと変わってないよね」

「手前、今何処見て云った!手前にだけは小さいとか言われたくねぇ!」

「私何も云ってないじゃん。小さい自覚でもあんの?それに私はまだ躰は成長期ですから」

葉琉は手を頭に乗せて中也を挑発する。

「この前は骨数本で済ンだが今回はそうはいかねぇぞ」

「中也の攻撃なんて避ける事に集中すれば中らな…」

「ほぉら中也、また葉琉苛めて。やめてよね」

太宰が葉琉と中也の間に割り込んで来た。そして次は、三人での言い争いが始まった。






階段を下まで降りると、目的の人物が見つかった。Qは太い蔓に絡まれ捕らえられていた。

「ほら、居たよ。助けを待つ眠り姫様だ」

太宰の言葉に葉琉が「眠り姫様ねぇ…」と呟いた。太宰はQに近付くと中也に「短刀貸して」と手を出した。中也は「あぁ…」と上着の内ポケットを探す。

「…ん?確か此処に…」

「あ、さっき念の為掏っておいたんだった」と太宰が態とらしく中也の短刀を取り出した。

「手前…」

太宰は薄い笑みを浮かべた儘、短刀をQの頸元に中てる。

「二人共、止めないの?」

葉琉の問い掛けに葉月は「首領には生きて連れ帰れと命令されているわ」と答え、チラリと中也を見た。中也は「だが」と続ける。

「その餓鬼を見てると詛いで死んだ部下達の死体袋が目の前をちらつきやがる」

最後に「やれよ」と冷めた目で太宰を見る。太宰は「そうかい…じゃあ、遠慮なく」と短刀を振りかざした。
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