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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第11章 三組織異能力戦争


この能力を使うと、何時も葉月の力が流れ込んでくるようなイメージがしていた。しかし、今回は久しぶりの所為か流れてくる力が強い気がした。マフィアに入って【漂泊者】を使う事は度々あった。この力を使うととても眠たくなり、寝てしまう。それは時間を止めている間が長ければ長いほど程眠ってしまう。何時からか葉月と葉琉では眠っている時間に誤差が生まれた。葉月は葉琉より長い時間眠るようになったのだ。

葉月が集中しているのが伝わってくる。勿論、葉琉にも余裕はない。だが、時々葉月の能力の流れが不安定な事に気が付いた。

「葉月!もう少し頑張って!」

少しでも長く時間を止めて置かなくては、その一心で叫んだ。

「葉琉、呼吸を合わせて。少しでも負担が減る様に流れを一定に保つ」

「判った」

葉月は大分辛そうだ。自分も限界が近い事は判っていたが葉月程ではない。数分程保っていた世界が葉月が倒れ込むのと同時に壊れた。葉琉もほぼ同じく膝から崩れ落ちた。二人は背中合わせでお互いにもたれ合い乍座っていた。

「やっぱ久々にやるとキツイね」

ぼそりと呟く葉琉に葉月も「そうだね」と返した。

「治ちゃん、ちゃんと敦君に辿り着くかな?」

「此処まで遣らせて置いて着きませんでしたなんて、許せないな」

小さい笑いが生まれる。

「ねぇ葉琉。怒ってる?私と太宰さんのこと」

「そりゃあ内緒でこんな作戦考えられたんじゃ怒るよ」

「それだけ?」

「……昨日の夜、治ちゃんから葉月の匂いがしたのはなんか厭だったなぁ」

「妬いた?」

「かもね」

「自分の気持ちに気付く事も大事だよ」

「ははっ、まだ私には愛だの恋だのは判らないや」

「葉琉らしいね」

そして、其の儘二人は瞼を閉じた。



葉琉達を医務室に運んだのは谷崎と賢治だった。二人は葉月がマフィアだという事を知っていたにも関わらず運んでくれた。たぶん、太宰が何か手を打っていてくれたのだろう。
葉琉は夕刻まで眠っていた。
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