第2章 勿忘草
唯一ずっと気にかけていた女性。
巻き込むまいと切り捨てたのに今目の前にいる
自分のそばに…
感情を抑え込むようにぐっと爪をたて拳を握った。
手当てが終わっても肩に手を置いているのが気になりふと見上げると
安堵したような心配しているような
今にも泣きそうな表情に見下ろされていた
その顔にそっと手をのばし頬に触れる
「なに泣きそうな顔してるんですか。」
理由は明確なのに。
「ばか。ずっと探したんだよ。なにも言わないで…」
一筋の涙が零れる姿を不意にも美しいと思う。
ずっと気になってた。
ずっと心配していた。
今なら守れるだろうか?
泣く彼女を力いっぱい抱きしめた。
「もう…泣かせない。」