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この恋の騙し方/安室

第2章 勿忘草




ねぇ
安室さんは恋人居ないの?


コナンと別れ血が滴る肩を掴みながらカジノタワーを目指し歩いた。

「恋人…か。」

ふっと笑みを零す。
言った後ながらどう考えてもキザなセリフで。
周り誰もいないのをわかった上でクスクス1人笑う。

いつから1人になった?
警察学校での同期はもう…
そして

………………。

そんなことを考えて歩いていると段々明かりが増えてカジノタワー近くだと気づく

人々の安堵の声が少しづつ聞こえて内心ホッと息をつき
ビル影からそっと帰っていく人々の眺めやるべき事が終わったと再確認した。

「……いっ。」

安心し気が抜けたのか痛みが襲ってくる。
ため息をつきタワーに背を向け海沿いまで歩いていく

少し肌寒い…
フェンスにもたれ掛かり先程見つけた自販機で購入した珈琲をあけると同時にズルズルと崩れ落ちた。

「ポアロでの生活に少し平和呆けしてますね…」

全ては目的達成のため
開けた珈琲を見つめボソッと零れた。

もう少し気を引き締めよう…。

珈琲を一気に煽るように飲みほす

「零…?」

ハッと我に返り勢いよく声のした方に視線をなげると心配そうに近づいてくる1人の影。

「貴女が…どうして……」

意外な人物に驚きの色を隠せない
声を聞き思ってた相手だとわかると走って近づいた

「やっぱり。え…どうしたの?その怪我…」

前にしゃがみ込みバッグからハンカチを取り出し手早い手つきで止血し

「風見さんからある人を迎えにいってほしいと頼まれたの…。
まさか零だったなんて」

と、呟く

相変わらずの優しい手つきに肩の力が抜け相手に身を預けた

「ありがとうございます。まさか風見の協力者だったとは。」

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