第16章 番外編 夢
こつこつ
鉄の階段にヒールの音が響く。
重い足取り、それでも目をそらさないと上だけを見つめた。
上りきると少し広めの屋上に出ては息も忘れたかのように引き込まれていった。
「ここで…。」
中央ちょっと隅の方で膝まづいた
なにが言いたかったのか。
答えは夢の中で出ているのに。
今更…
そう思いながら花束を置いて静かに手をあわせ目を閉じる。
スコッチが亡くなった場所
赤井秀一から聞いてはここにきていた。
「スコッチ…。」
相手のいない名前を呟いた時ざぁぁっと暖かい風が体を撫でふと、
「ふふ。そこにいるの?」
励まされた。そんな風に思えは声に出して笑う。
夕焼けに照らされて空を見上げた。
「人のこころもこんなに綺麗だったらいいのに」
心の底から思う。
素直に本音を言いたい…
でも出来なくて
考えたくなくて首を左右にふった。
「スコッチの思いにこたえられるかわからないけれど…。零と笑いあえたらいいな」
沈む夕陽を見つめ踵をかえした。
夕焼けが綺麗な時間。
の少し立ち止まった日のこと。