第16章 番外編 夢
「………ナル。」
「……………カーディナル」
呼ばれている…。
あの名で。
呼び声は優しくでも誰かわからない。
誰…だろう。
そっと目を開くと辺り一面真っ白な場所
見渡しても何も無い…
いや霧でなにも見えないと言った方が楽だった。
「カーディナル」
背後から優しい声がする。
聞き慣れない声を疑問に思い後ろを振り向いた。
真っ白な霧の奥から男性が現れふと笑みをうかべた。
「まさか君が零-ゼロ-の……だったとはな」
大きく目を開き
「まさか…貴方……は…」
独り言のように言葉が出ていた
「スコッチ。
…諸伏景光。聞いているだろ?」
すぐに返事は返ってきた。
知っている。
この人を…。1度だけ話したことを思い出す。
あの時は…。
「あの時は。なにも知らないからな…お互い」
スコッチの言葉が続いた。
「カーディナル。降谷零を頼む」
力強く言われる言葉にハッとしてスコッチを見上げた。
「私には…!!」
出来ないと発し続けようすると厳しい目付きになったスコッチが
「もう…お前しかいないんだ。」と制する
「…………」
はぐっと押し黙り下を向いて逃げる一心で目を瞑った。
「あとはお前だけ……
あの3人もそう思ってるだろうから」
不意に引っかかる言葉に視線を送るとスコッチは上を見上げていた。
悲しそうな表情には惹かれ手を伸ばし近づこうとするのをみて
「お前はまだだ…。」と小さく呟き制した。