第15章 月見草~決心~
「彼女はキュラソー。本当の色を見つけたんだろう?
それには君の言葉もしっかり入っているんじゃないのか。」
「そうだといいな…。」
なにも話さない赤井の優しさをくすぐったく思う。
あの時は…誰もいなかったから
明美のことを考えているのだろうと赤井は無言のままだった。
人を失う怖さを誰より痛感している
今はただなにも語らず彼女が前を向くのを待つだけ。
ただそれを願った。
「もう大丈夫。今はひとりじゃない…
キュラソーとの約束守らなくちゃ」
そっと顔をあげて涙を拭う。
赤井と視線を合わせた頃にはもう彼女の笑顔があり前を向いた。
まだ切れていないだろうと思うもそっと笑みを浮かべ赤井は目を瞑った。
赤井が思っていることはお構いなしには車のエンジンをかけて東都水族館を後にした。