第8章 ……さよ、なら…?
「…っ、ん…」
「!紅覇様っ?」
「…ここは…」
僕の部屋…?
「こ、紅覇様が目覚めましたぁああっ!!!(泣)」
「良かったです、紅覇様っ…」
「大丈夫ですか?」
「…──」
長い、長い夢を見ていた気がする…。
何もない野原に、僕は立っていた。
目を見張ると、優しく微笑んでいたルナは、何故か涙をこぼしていて…僕から遠く離れたところで、僕を見つめていた。
僕も微笑み返して…ルナを呼ぶ。
でも…
呼んでも呼んでも、ルナは離れていった。
手を伸ばしても、届かなくて…
いつの間にか辺りは、真っ暗闇になっていて…
泣いて、泣いて…
声をあげても、優しく慰めてくれるルナはそこに居なくて…
僕は一人で……
「紅覇様っ…ううう~っ(泣)」
「…何で泣いてるのぉ?」
目覚めると、そこは僕の部屋。
寝衣に身を包んで、自分のベッドの上で横になっていた。
近くにあるテーブルには、タオルやら氷水やらが置いてあって…
皮を剥かれたリンゴは、ところどころ茶色になって皿に盛られていた。
…いったい…何が…?
この状況を、まったく理解できない。