第7章 最悪の事態
~紅覇side~
「ルナっ、ルナっ?」
『けほっ!…こ…はぁ』
「っ…大丈夫ぅ…?」
ぐったりとしているルナを抱き寄せ、
僕は、目に溜まっていた涙をポロポロとこぼす。
ルナの服に、シミが広がった。
『く、る…しぃ…っ』
「~っ、炎兄のとこに行こうねぇ…きっとすぐに治してくれるからぁ」
『こほっ…ケホッ』
酷い咳と、荒い呼吸…。
見ているだけで、潰れるくらいに胸が締め付けられた。
ルナが苦しんでる…。
紫色の痣が、首元に痛々しく残っている…。
正直、ここで引き下がりたくなかった。
今すぐにでも、玉艶を切り刻んでしまいたかった。
途中から来た白龍が邪魔だった。
でも…ルナの方が、圧倒的に大事。
優先するしかなかった。
「…っ」
キッと、背後にいる玉艶と白龍を強く睨み、
腕でゴシゴシと涙を拭いてから…
ルナを抱いて立ち上がる。
…白龍は、医務室に行けって言ってたけど…
炎兄のほうが何とかしてくれそうだし…。
そう思って、苦しそうに唸るルナにあまり衝撃を与えないように、急いで炎兄のもとに向かった。