第11章 ありがとう…。
「…はぁ~、疲れたぁっ!!」
紅炎に雑用を頼まれ、朝8時から午後の4時まで、仕事をさせられていた紅覇。
終わった後の疲労感に、紅覇は体を動かせずにいた。
「ご苦労様でした、紅覇。」
「ん~何で明兄は手伝わないわけぇ?
ムカつくんだけど~」
「え、私もしていましたよ?用紙の整頓。」
「何それぇっ!?」
あまりの差の激しさに、紅覇は叫んだ。
「うるさいぞ紅覇。」
「っ、だって炎兄~…」
「ダレてないで、部屋に戻れ。俺はまだやることが残っている。」
「え~っ」
扱いが酷いなぁもう…
「今日1日、ご苦労だった。礼を言う。」
「っ!…炎兄が、お礼…?」
「っ(怒) 早く行け」
「はーいはい。」
背中を押され、紅覇は自室に戻ることにした。
あれから、もう半年が過ぎた。
なのにまだ、あの鈴は一度も鳴っていない。
「…はぁ……まだかなぁルナ…」
部屋に入り、まっすぐに窓辺へと向かい、窓を開けた。
もう、夕日が落ちようとしている。
煌の向こうの海が、真っ赤に染まっていた。
コン、コン、
「紅覇様、湯浴みのお時間です」
「あー、うん。」
扉の向こうから、女官の声が聞こえてきて…
僕は仕方なく、開けていた窓を閉めた。
と、その時。