第9章 私の一人旅
胸を押さえて咳き込むルナ。
強く瞑っている目には、涙が滲んでいる。
「ヤムライハッ、どこですかっ!?
今すぐ来てくださいっ!!」
騒がしい広場に向かって、叫ぶジャーファル。
「ここにいますっ!何かあったんですか?
…っ!ルナちゃんっ!?」
運よく、ヤムライハはすぐ側にいた。
そしてすぐ、ルナの様子に気が付く。
「わかりませんっ、急に咳を…」
「大丈夫か、ルナっ」
俺も、声をかける。
でもルナは、返事をできる状態じゃない。
「っ、すぐに医務室へ連れて行きましょうっ!」
「ええ、そうしますっ。
シン、ここは任せますっ!」
「分かった。」
ルナを抱きかかえ、ヤムライハと共に医務室へ向かうジャーファル。
この騒動を聞きつけた国民たちが、ガヤガヤと集まってきていたため…ジャーファルにその "処理" を頼まれた。