第9章 私の一人旅
~シンドバッドside~
「王様ぁっ!!!」
南海生物が出現したと情報が入り、八人将を引き連れて港へやってきた。
誰がパフォーマンスをするか、悩んでいると…
夫婦らしき男女が、息を切らし、血相をかかえて走ってくるのが見えた。
「どうした?」
「っあの、はぁっはぁっ」
「助けて、くださっ…」
「何かあったのですかっ?」
尋常でない二人の様子に、ジャーファルも目を向ける。
俺も少々、驚いた。
「助けて、ほしいん、ですっ…!」
「ルナちゃんが…っ、女の子がっ!!」
「ルナ?」
「女の子…が、どうかしたのですか?」
「海で溺れているんですっ!!」
「船に一緒に乗っていたら、あの生物が波を大きくしたせいでっ…落ちちまったんですっ!!」
「「落ちた(だと)っ!??」」
「泳げないみたいでっ…」
「お願いしますっ、ルナちゃんを助けてくださいっ!!」
二人の言葉を聞き、シンドバッドの脳内で何かが作動した。
女の子 → 女性 → 大切… → 助けるっ!
「それはいかん…ジャーファル、今回は君がパフォーマンスを。
それからピスティ!女の子の救助を頼む。」
「(…絶対に何か考えたな)はっ。」
「はぁ〜いっ!」
ジャーファルに一瞬、白い目を向けられたような気がしたが…気にしない。
とりあえず今は…
彼女の無事を祈ろう。