第5章 星降る夜に愛を誓う/前編
「成功だ。行こう莉菜さん、つかまって」
「え!?」
莉菜さんをサッと横抱きにする。
そのまま さっきとは違う方向にある窓を開け、窓枠に足を引っ掛けた。
「ま、待って佐助くん!ここ四階…!」
俺が何をする気なのかを察知した莉菜さんが、不安げな表情で俺を見上げる。
やっぱり怖いか…
「知ってる。でも大丈夫、俺を信じて。怖かったら目を瞑ってて」
「わかった…… 信じる!」
「行くよ」
(バッ!)
覚悟ができた様子の莉菜さんを抱えたまま、俺は窓から飛び降りた。
「〜〜〜ッッ!!」
悲鳴をあげまいと必死に耐える莉菜さん。
(……可愛い)
こうして警備が手薄になった隙をつき、俺達は城から抜け出すことに成功した。
ー 後編に続く ー