第4章 男子会・春日山城城下の大衆食堂に於いて
「そんなつまらねー理由で、ずーっと佐助を付け回してたってことですよね?」
「人聞き悪い事を言うな。ずっとでは無い」
「佐助は警戒心が強いからなー 裏をとるのに苦労したよ」
なんだそれ……
「佐助に対抗できるよう、忍の中でも選りすぐりの人材を集めた。まさに精鋭部隊だ」
「はあ、そこまでやるか?ふつー」
「人の個人情報を探るなんて俺は乗り気じゃなかったが、謙信が佐助が心配でどうしてもって泣きつくから仕方なくだなー」
「余計なことを言うな信玄。俺は万が一、億が一にも佐助が俺を裏切る可能性があるのか無いのかを調べたかっただけだ」
「はいはい、そういうことにしておこう」
「チッ、貴様… やはり斬る!」
「やーめーろって!」
謙信様が刀の鯉口を切ったので止めに入った。
「てことは当然、莉菜の素性も全て調べあげたってことか……」
「ああ、申し訳ないが調べさせてもらった。彼女は織田家ゆかりの姫として安土城に住んではいるが… 実際は織田家とは何も関係がない、出自不明の女の子だ」
「よりによって敵国の女に熱を上げるとはな……」
やっぱその部分が引っかかんのか、謙信様の顔が急に険しくなる。
「落ち着け謙信。彼女は血縁上 信長とは何も関係が無い。それがわかっただけでも良かったじゃないか。安土軍の皆に可愛がられてはいるがな」
「可愛がられているなら尚更だ。此方の情報が向こうに流れないとも限らんだろう」
…っ
確かに、その可能性は無いとも限らねー。
…けど、