第3章 手と手を繋いで/視点違い
一人でニヤニヤしていると、秀吉さんが私を現実に引き戻す。
「じゃあ今日も餌をやりに行かないとな。雀たちも お前が来るのを待ってるはずだ」
「え…? いや〜… それはないと思うけど……」
「莉菜、いくら相手が鳥とは言え一度得た信頼を裏切るのは良くない」
「うーん、うん……」
「よし!これからは俺も餌やりを手伝う。あとで厨に米を取りに行こうな!」
「えぇ!? あ…ありがと……よろしくお願いします………」
ああ。
咄嗟についた嘘のせいで、毎朝 秀吉さんとスズメに餌をやる羽目になってしまった。
ほとぼりが冷めるまで続きそうだなコレ。
でも佐助くんのことがバレるよりは良いか…
頑張って早起きしよう…
………
………
着替えの途中。
昨日見た夢をぼんやりと思い出す。
佐助くんの夢、
すっごくリアルだった。
声とか…
手の温もりとか…
極め付けが、
お、おでこに
おやすみの……
キ…キ……キキ………
キ
ス
キャーッ
どうしよどうしよ!!!
はぁ…
逢いたいな。
佐助くん、元気かなぁ……
やっとこさ着替えを済ませた私は、頬の緩みを隠しきれないまま皆が待つ広間へと急いだ。
(ぐぅ〜)
盛大にお腹の音を響かせながら廊下を走り
広間の襖を元気よく開けて、中へと入る。
「おはようございます!遅くなってごめんなさい!」
さぁ、
朝ご飯食べて、今日も一日頑張ろ!
佐助くんのことを想うと、自然と気力が湧き上がるのだった。
ー おしまい・あとがきへ続く ー