第2章 手と手を繋いで
終戦直後で ごった返す中を歩いていると幸村の姿を見つけた。
「幸村」
「おー 佐助、お疲れ。怪我は無いか?」
「ああ、無傷だ。幸村も?」
「こっちもかすり傷ひとつねーよ」
「良かった。…悪いんだけど、俺、先に抜けてもいいかな?」
「別にいいんじゃねーか?何か用事か?」
「ん、まぁ」
「………」
「…何?」
「いや 別に。いーよ、行けよ。謙信様には言っておいてやるから」
「すまない 幸村、よろしく頼む」
「おー、じゃあな」
幸村に断りを入れ、俺は戦場を後にした。
(逢いたい)
その一心で安土へと向かう。
(一目でいい、顔が見たい)
もうすぐ逢えるんだと思うと、戦による身体の疲れなんて微塵も感じなかった。