第8章 秘密の花園/後編
「野盗を見つけたのなら なぜ俺を呼ばん」
「謙信様を呼びに行く間に逃げられたらまずいと思いまして」
「お陰で俺は退屈で死にそうだ」
お陰で?
随分ご機嫌斜めだな。
「安土で骨のある野盗どもを討伐するという当初の目的が、まだ叶えられておらんのだ」
「そうだったんですね」
まぁ あの野盗集団じゃ、謙信様的には全く物足りなかったとは思うけどな…
「佐助、鍛錬に付き合え。獲物はもちろん真剣だ」
「えー」
やっぱりそう来たか。
「俺、朝餉がまだなんですけど…」
「行くぞ」
俺の言葉を完全に無視して、謙信様が斬りかかって来た。
莉菜さんのことを人の話を聞かないと言って怒ってたのに、自分も全く聞かないんだから困ったものだ。
とりあえず幸村も起こすか………
謙信様の斬撃をかわしながら、庵の中へなだれ込んでいく。
(ドタンバタン ガシャーン!)
「わーっ!何だぁ!?」
飛び起きた幸村もいつの間にか鍛錬に加わり、
謙信様の気がすむまでそれは続いた。
ー おしまい・あとがきへ続く ー