第7章 秘密の花園/前編
「これで全員か」
16人全員をきつく縛りあげ、森の奥深い場所で一箇所にまとめる。
「うう、助けてくれ」
「お願いだ、命だけは…」
意識のある、さっき逃げようとした二人組が俺に懇願してきた。
自分たちのやって来たことは棚に上げておいて命乞いか。
全く勝手な奴らだな…
「安心して下さい。殺しはしません」
「え?あ、ありがとごぜぇます」
「へへ… さすが旦那!」
俺の言葉に安心した様子で男たちが喜ぶ。
「俺がわざわざ殺さなくても、こんな所で一晩過ごせば山犬の餌になるのがオチでしょうから」
「はあ!?」
「どういう意味だ!」
そう ひと言付け加えると、次は怒り出した。
「この森に精通してるあなた達なら分かる筈だ。夜になれば腹を空かせた山犬が餌を探して動き出す事くらい」
「…っ!ヒィ!」
「お、俺たちをこのまま置いてく気か!?」
「御名答。じゃあ俺はもう行きます」
「おい、待てコラ!」
「この野郎!」
再び悪態をつく二人を無視して踵を返す。
安土に戻ったら、見回り組に報告しておくか…
山犬に食われて死ぬよりはいくらかマシだろう。
牢の中で、今までの行いをしっかり反省するといい。
それにしても運動したら喉乾いたな。
どこかで水を飲んで…
その後あの泉の付近をきちっと清掃しよう。
莉菜さんとの初デート場所をそこに決めた俺は、意気揚々と歩き出した。
ー 後編に続く ー