第4章 西方組織抗争
ーー次の日
「葉月、首領からだ」
「私に、ですか?」
私は中也から封筒を受け取った。
その中身は例の男についてだった。
その男は【夢の旅人】と呼ばれているそうだ。
そして、この間手に入れた情報は如何も本当のようだった。
資料を読み終えると、一番下にはこう書かれていた。
【君の復讐が果たされる事を願っているよ】
私は一瞬息が出来なかった。
(如何いうこと?)
四年前に首領から貰った、父の復讐相手はこの人ではなかった。
(首領の勘違い?否、そんな事はないだろう。
確かあの時、首領は復讐相手の名前は言わなかった。首領が私に渡そうとしていた資料と、渡した資料では中身が違った?
ではあの資料は…)
首領から貰った資料は数日後、私の手元から無くなっていた。否、盗まれたのだ。思い当たる人は一人だけいた。その人なら中身をすり替えることができる。でも何のために…?
「おい。大丈夫か?」
中也の声でハッと我に返る。 中也は心配そうに私を見ていた。
「大丈夫。少し驚いただけ」
「何が書いてあったんだ?」
私は夢の旅人と呼ばれている男について話した。だが、最後の一文については触れなかった。
「【夢の旅人】か。なんか手前らと似てンな」
「私達?」
「葉月と葉琉は【時の旅人】とか呼ばれてただろ」
「あー、確かに」
確かに私達は【氷島】の能力の一つ、【漂泊者】の能力から【時の旅人】なんて呼ばれた事もあった。だが、それは四年前までの話。今では私でも忘れていた呼び名だ。
「兎に角、首領はこの夢の旅人については対象じゃないって書いてある。出来る事なら消して欲しそうだけど、余り深く関わりたく無さそう。何か事情がありそうね」
「何にせよ、邪魔するなら殺るだけだ」
そう言うと中也は殲滅リストに目を通し始めた。