第4章 西方組織抗争
ーー三ヶ月後ーー
私達は十七の目的のうち、十組織を潰した。
此方から仕掛ける事もあったが、あの電網破り集団を殲滅してからは仕掛けられる方が多かった。勿論、予定通りだ。
一つ予定通りとなっていないのは、まだユートピアが仕掛けてこない事だ。他の組織に指示を出しているのかは判らないが、まだユートピアの構成員は出て来ていない。そしてあの男も。あれからは姿を現していなかった。
「中也さん、街のカメラに何処かの組織の連中が映ってます。
たぶん、ウチの地下カジノを襲撃しようとしてます」
私は何台か準備されているパソコンの画面の一つを指した。
別の構成員がその画面を大きく表示する。
「あ?今月で何件目だよ…」
中也が頭を抑えながら溜息を吐いた。
「何言ってもしょうがないですよ。一応、今は抗争中なんですから。
数ヶ月で半分以上の組織潰せたんですからペースとしては悪くないと思いますよ。まだ大物が残ってますけど」
私の言葉に嫌々顔で立ち上がった中也は、私にカメラの確認を任せて部屋を出て行った。
● ● ●
如何やら中也達はカジノ襲撃を未然に防げたようだ。カメラの様子からはそう感じられた。
ふと、別のカメラ映像に目がいった。人が多く行き交う交差点の映像だ。その映像を観て、私の身体はびくんと震えた。
一人の男がカメラを見つめているのだ。その男は紛れもなくあの男だった。
中也に連絡しようとしたが止めて、構成員にカメラの監視を任せ私は部屋を出た。