第4章 西方組織抗争
『葉月!手前いま何処にいンだ!』
インカムから中也の声が聞こえる。
私は呼吸を整え乍、答えた。
「建物の東側だと思います。いま其方に向かいます。
他の方々は無事ですか?」
『もう合流してる。後は手前だけだ』
「善かった。直ぐに向かいます」
そう答えてインカムを切った。
● ● ●
「くそっ!」
拠点の執務室に戻り中也は勢いよくソファに腰掛けた。
「済みません。相手の罠に気が付かずこの作戦を立ててしまって」
深々と頭を下げながら私は言った。それと同時に一つのUSBメモリを渡した。
「なっ!盗れたのか!?」
「全部ではありません。異能者リストは手に入りませんでした。
しかし、例の参謀の情報は手に入りました」
中也はそのUSBをパソコンに接続し、中身を確認した。
其処には写真と共にこう記されていた。
【名前:???/生年月日:???/血液型:???】
「なんも判んねぇじゃねぇか!」
「否、この後です」
私は続きを促した。
【×××年×月:〇〇の戦いにて目撃
××××年××月:〇〇戦争にて目撃】
その他にも幾多もの目撃情報があった。
しかし、殆どの情報が信じられないものだった。
「…おいおい。こりゃァ何の冗談だ?」
中也の額には汗が滲んでいた。私も最初見たときは鳥肌が立った。
最初の目撃情報は今から数百年も前だったのだ。
「この情報が本当のもの、という確証はありません。
しかし、この目撃情報の上がった戦い、戦争は全て本当に起こった物です」
「此れ、首領に報告したか?」
「否、まだです」
中也は少し考えてから「俺から報告する」と言った。
私は一礼をして執務室を出た。