第4章 西方組織抗争
ーーとある町外れの廃墟宿
此処は小規模の電網破りの集団が根城にしている。
陽が沈んだ後、私達はこの建物の包囲を始めた。
「態々俺達が来なくても善ンねぇか?」
中也は腕を組みながら訝しげ似尋ねた。確かに相手は武装集団ではない。構成員で事足りる。
「私が指揮を執るなら中也さん居なくても善いんですが、一寸中でやりたい事が有りまして。
現場の指揮は任せます!」
中也は呆れ顔で溜息をついた。
「手前らァ、準備は出来てッか!?」
中也の言葉で数名の構成員が短機関銃を構えた。
「作戦通り、中にいる人は殲滅で構いません。しかし、電子機器への攻撃は私の仕事が終わるまで一切許しません。その事を覚えておいて下さい」
「行くぞ!」
中也の掛け声とともに構成員達は建物に突入して行った。
私も後に続きゆっくりと建物の中に入っていった。彼方此方で銃声と悲鳴が聞こえたが、無視して目的の物を探した。すると、構成員の一人から連絡が入った。
『萩原さん、例の物と思われし物が見つかりました』
「判りました。直ぐ向かいます」
その構成員のいる部屋に行くと、多くのパソコンがある部屋だった。足元には既に二名の死体があった。
「有難う御座います。貴方は他の方の援護をお願いします」
構成員は一礼して部屋を出ていった。
私はそのパソコンに向かい画面を操作した。ユートピアの異能者リストを入手するためだ。
目的のファイルを発見し、開けようとしたその時
【你好】
と画面に表示された。直ぐに画面が切り替わる。
【00:00:30…00:00:29…00:0028】
数字は段々と減ってく。
自分の顔が青ざめて行くのが判った。
「全員直ぐに建物から出てください!
出入り口では無く、窓から!爆発します!」
インカムに叫び自分も部屋を出た。
しかし、自分がいる廊下は窓一つない廊下。
近くの扉を開けようとしても開かない。
取り敢えず、その場から離れようと走った。
すると、扉の開いている部屋を見つけ、その部屋の窓から外へ飛び出した。
爆発はそれと同時だった。
『おい!葉月!無事か!?』
中也の声が焦っているのがわかる。
「ハァ…ハァ…萩原ッ、無事です」
私も肩で息をしてる状態だった。
振り返ると先刻までいた建物は無残な姿で崩れ落ちていった。