第4章 西方組織抗争
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中也が執務室を出てから数時間は経った。たぶん、捕らえた男の所だろう。
私は今日の任務報告書を任されていた。珈琲を啜り乍、報告書を仕上げていく。
すると、ノックもなく扉開き中也が入ってきた。
「報告書は出来たか?」
「今仕上げです。其方は如何でした?」
中也はにやりと笑い私に一枚の紙を渡した。
其処には今回の作戦に関わっていたであろう組織の名前がずらりと並んでいた。
「手前より俺の方が早かったな」
たぶん、こな間の私が行った拷問の話をしているのだろう。中也はとても勝ち誇った顔をしていた。
「判りました。次はもっと早く聞き出します」
私は素っ気なく答えた。正直、悔しかったのは秘密である。
貰った資料に目を通すと、大体予想通りの名前が並んでいた。
「今回の件で向こうもポートマフィアが動き出した事には気付いただろう。自棄起こして攻めて来りゃあ終いだな」
ソファに座り煙草に火を付け乍中也が言った。
確かに、向こうはまだ準備段階だったから我々の武器密輸を横取りしようとした。
だが何か引っかかる。上手く行き過ぎている気がするのだ。
考えていると中也が「そういえば」と切り出した。
「ここらの組織を纏めていたのは【ユートピア】だ」
ユートピア、先日姐さんと中也から名前の上がった異能組織だ。名前の通り楽園を創造する事を目的にしていると聞いたことがある。只、行っていることは我々と変わらない。逆らう者には容赦しない、非合法の組織だ。
「そのユートピアに最近、頭のキレる参謀が入ったらしい。其奴が今の作戦の指揮を執ってンだと。
今まで大人しかった組織が急に動き出したんだ。何か有るとは思ってたがな」
頭の中には先刻遭ったばかりの男の顔が浮かんだ。
「てな所かな。此れも報告書に書いといてくれ」
中也は煙草の火を消し乍私の方を見た。
「ンだよその厭そうな顔は」
「何でも御座いません」
「それ終わったら上がっていいぜ」
中也は手を振りながら執務室を出て行った。
私は言われた通り報告書を仕上げ、帰路についた。